ある風景
「自転車買ったの♪」
文乃さんが僕に云った。
多分、僕が学校に自転車で来ているのを知って声を掛けてくれたのだろう。
それなりにこの大学でも増えている、一応スポーツ車と呼ばれる自転車に僕は乗っている。
「そうなの、どんなの?」
まさかスポーツ車って事は無いだろうなぁと思っていた。特段、僕がSirrus*1に乗っていても興味ありそうにもしていなかったし、僕の連れのサトシが乗っているR3*2を見てもそうだからだ。
「これよ」
と脇に置いていた青いファッションサイクルを持って来てくれた。
トップチューブには、「LORIS.,CORGO」とある。
「…へーえ、きれいな自転車だね」
取り敢えず色を褒める。真っ青なフレームに白い文字でロゴが書かれている。
「そうなの、結構気に入っているのよ、白い字がおしゃれでしょ♪…ねえ、高橋君?」
「ん、何?」
「これ、何て読むの?」彼女はロゴを指差して言った。
…
「さあ、何て読むんだろうね」
「高橋君、自転車の事詳しいんじゃないの?」
「僕だって、知らない自転車はいっぱいあるよ」
「やっほっ」
文乃さんの友達の成美だった。どうしてこっちは呼び捨てだというと、同じ高校の出で、以前から知っているというだけ。つまり、僕の友人でもあるんだけどね。
「あら、自転車買ったの?」と成美。
「そうなの。でね、これどう読むのかわからないんで高橋君に聞いてたんだけどね」
「そうねぇ、ロリス コルゴ?カーゴじゃないしねぇ…でも、私のもわかんないわよ」そういった成美のまたがっている黒い自転車には「LOUIS AMU'Z」とやはり白抜きで書かれていた。
「え~、それはルイス アミューズじゃないの?」と文乃さん。
「ルイかもね」と僕。
「えっ?」二人が同時に言った。
「ほら、ルイ・ヴィトンとかフランスの国王の」
「たしかにねぇ、」と成美が言った。
「じゃ、ルイ アミューズね」と文乃さんが言うと、
「あら、ルイスって自転車乗っている人がいなかったっけ?」
(いや、そりゃランス・アームストロングだってばよ)
………
「あ、もうこんな時間?2時間目が始まるわね」と成美が言うと、文乃さんも
「そうね、自転車を置いて行きましょ、高橋君は?」
「俺は次は休講だから、」
「そう、いいわね。じゃあ」
「うん、それじゃ」
二人と別れると、
「よおっ」と言ってサトシがやってきた。
「や、授業は無いん?」
「ああ、どしたい?」
「いや、自転車のロゴがわかんなくてな」
「んー、どれだい?」
「あの2台だよ」と、二人が止めた自転車を指差した。
「あ~、LUXURIOUS?ラグジュアラスって読むそうだ」
「えっ?」僕は急いで振り返った。
すると、さっきの2台の隣にまた1台、赤いミニベロが止まっていた。
「い、いや。ロリスなんとかとアミューズとかなんかいうやつだ」
「あー、あの青いのと黒いのか、…わからん」
「そりゃそうだな。でも、あのラグなんとかは何で知ってんだ?」とサトシに聞いた。
「今日はあれで来たからだ」
!!!「え”ー!R3はどうしたよ?」
「ちょっと改造中でクランク取れてるんだ。それで間に合わんと思って妹のチャリを借りてきた。そしたら休講だったけどな」
サトシは苦笑いをした。
「でもこれって、ルイガノ(LOUIS GARNEAU)の…」
「そうそう、まんま…ね。ま、いーじゃん。真似されるぐらいカッコイイってこったい。OとUが重なっている所なんかいーじゃない。この2台だってそうだろ?」
「そりゃあねぇ、見るからにだし」
そんな他愛もない事をいっている僕達の横を、白いLGS-FIVEが通って行った。
「気持ち良さそうだな」どちらかという訳でもなく、云った。
「…走りに行こうか」と僕が言うと、
「そうだな……でもホドホドにな」
「お前の事だからちゃんと走るようにしているだろ?」
僕はサトシの方を向いて、笑った。
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あー疲れました。
特にこんなのにしたのは意味があったわけじゃないです。
たまにはちょっと変わった文章を書いてみただけです。
それとチャリの名前を書いただけでは面白くなかったので
(だからといって、この文章が面白いって訳じゃないですが)。
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